外国人を雇用している企業の、60%は従業員30人未満の小規模事業所です。これらの企業では、就労外国人の住まいや個々の生活までを支援することは、難しいといえます。そこでこれら小規模企業をアシストする制度として、法務省特定技能基準省令「1号特定技能外国人支援に関する運用要領・1号特定技能外国人支援計画の基準」に準拠した「外国人宿舎管理制度」(ガイドライン)を設けました。入居者に安心感を与えると共に地域社会からも信頼を得る制度です。

「企業の社会的責任」と呼ばれる経営理念が注目されています。CSR(Corporate Social Responsibility)と言われ、社会の一員として責任ある行動をするべきという考え方です。特定1号技能外国人の受入れの住環境を整備することは社会的な責務ではないかと考えます。

 

外国人宿舎管理制度の主な業務

  • 外国人が暮らし易い住環境の提案と改修支援
  • 住環境維持のための定期点検
  • 不動産仲介業者との提携による「賃貸住宅の紹介」
  • 入居〜居住〜退去のトラブル防止
  • 賃貸不動産オーナーと入居外国人との良好なコミュニケーション支援
  • 近隣住民との地域活性化支援
  • 苦情・相談体制の整備
  • 避難誘導体制の整備
  • 宿舎登録プレートの発行

 

外国人宿舎管理規則(借上住宅の例)

3月に1度の監査を行う際、実習生の寄宿舎についての項目があります。

  • 寄宿舎規則を作成したときや、変更したときは、労働基準監督署に届け出が必要です。
  • 届出には、寄宿舎に居住する労働者の過半数を代表する者の同意書の添付が必要です。
  • 技能実習生を含め労働者を10人以上使用している場合は、寄宿舎設置届の届け出が必要です。

 

住まいの約束

日本で、安全で快適に暮らしていただくためには守っていただく約束があります。日本での暮らしは、母国とは、大きく違うところがあり、戸惑われるかと思います。この「住まいの約束」は、あなたの健康と安全を守るためのものです。快適に暮らして収入を得ていただくためのものです。

同じ宿舎の人だけではなく、近隣の人々とも、できるだけ良い関係を保つようにしましょう。その手始めがあいさつです。「こんにちは!」だけで良いです。あいさつができるようになりますと、困った時などは、必ずあなたを助けてくれるようになります。

 

部屋について

  • 宿舎は会社が、借りている部屋です。破損や施設に故障が見つかったら、ただちに連絡してください。そのままにしておくと住みにくくなるだけではなく、危険です。
  • 宿舎には、会社の関係者以外の人は、入れません。たとえ家族であっても許可なく住むことはできません。
  • 帰国したり移転する時に、部屋にひどい汚れがあったり、破損した所があると費用を請求されます。ご自分の住まいと同様に、使うように心がけてください。

 

部屋の家具・電気製品・ガスコンロ

  • 部屋にある家具や電気器具は、使い方を守ってください。もし壊れたり、いつもと違うようであれば、すぐに届けてください。そのまま使い続けると火災などの危険性があります。
  • 使い方を誤ると、電気や水道の料金の負担が多くなり、あなたの収入が減ってしまいます。

 

音への注意

  • 部屋の外や室内で大きな声で会話したり、テレビの音量が大きくなると周りの方を不快にさせてしまいます。10時以降は静かに過ごすようにしましょう。
  • 室内での大きな音、ドアの開閉、廊下を歩く音、階段を駆け上がったり降りたりする音は、同じ建物の人々が不快に感じます。夜9時以降は、他の人の睡眠を妨げます。
  • 夜9時以降や、朝7時前の早朝には、洗濯機や掃除機を使わないでください。

 

ゴミの出し方と清掃

  • 初めて日本に来られた方は、道にゴミが落ちていることが少ないのに驚かれます。清掃は、日本では特に暮らしのマナーとして、子どものときから教えられています。部屋の中だけでなく、廊下や、建物の周囲の掃除もするようにしましょう。
  • ゴミの出し方は、町によって違います。基本は「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「プラスチック」などに分けて出すことが、決められています。部屋のゴミ箱をいくつか分けるようにしましょう。

 

衛生面の注意

  • 日本の住まいでは、必ず靴を脱いでください。
  • キッチン周りを、きれいにしてください。特に油を使った料理をするときは、使用済みの油を流さないでください。換気扇のフィルターも交換してください。建物を傷める原因になります。修理が必要になると、お金を請求されます。
  • トイレは、特にきれいにしましょう。日本には、トイレには神様が住んでいて、トイレがきれいだと、心と身体の健康が保たれるという考えがあります。
  • 日本は、季節が大きく変化します。そのためカビなどが発生しやすい環境です。室内の換気に心がけてください。カビは健康を悪くする原因です。

 

外出・長期休暇の注意

  • 在留カード(パスポート)は必ず携帯してください。会社などの連絡先も持っていてください。万一の時に必ず必要になります。また、定期的に警察官からチェックされることがあります。
  • 一時帰国、外泊、遠方へ出かける時は、必ず事前に相談、連絡してください。

 

対案と改修支援

空き家を外国人向けのシェアハウスに改修及び賃貸借条件の一例

  • 契約期間は、1カ月からの定期借家契約も可能
  • 敷金・礼金をとらず、保証金として3万円程度を支払ってもらう
  • 光熱費は家賃に含まれる
  • 部屋は個室。布団を用意するほか、その他の家具や家電は家賃の設定
  • キッチン、リビング、シャワー、トイレは共同
  • 共同スペースにソファやテーブル、大型の冷蔵庫、テレビ、洗濯機などを備える

 

外国人向け居住支援団体一覧

 

法律(参考)

1号特定技能外国人支援に関する運用要領(平成31年3月 法務省編)
第2 1号特定技能外国人支援計画の内容等
(3)適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援

 

【関係規定】

特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)

第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 次に掲げる事項を含む職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の内容

ハ 当該外国人が締結する賃貸借契約に基づく当該外国人の債務についての保証人とな

ることその他の当該外国人のための適切な住居の確保に係る支援をすることのほか、銀

行その他の金融機関における預金口座又は貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関

する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること。

 

(3-1)適切な住居の確保に係る支援

〔義務的支援〕

○ 1号特定技能外国人が住居を確保していない場合の支援として、次のいずれか

による方法で、かつ、1号特定技能外国人の希望に基づき支援を行うことが求めら

れます。なお、当該支援については、当該外国人が現住居から通勤することが困

難となるような配置換え等特段の事情がないにもかかわらず、自らの都合により転

居する場合を除いて、受入れ後に当該外国人が転居する場合にも行うことが求め

られます。

① 1号特定技能外国人が賃借人として賃貸借契約を締結するに当たり、不動産

仲介事業者や賃貸物件に係る情報を提供し、必要に応じて当該外国人に同行

し、住居探しの補助を行う。賃貸借契約に際し連帯保証人が必要な場合であっ

て、連帯保証人として適当な者がいないときは、少なくとも

・ 特定技能所属機関等が連帯保証人となる

・ 利用可能な家賃債務保証業者を確保するとともに、特定技能所属機関等が

緊急連絡先となる

のいずれかの支援を行う。

② 特定技能所属機関等が自ら賃借人となって賃貸借契約を締結した上で、1号

特定技能外国人の合意の下、当該外国人に対して住居として提供する。

③ 特定技能所属機関が所有する社宅等を、1号特定技能外国人の合意の下、

当該外国人に対して住居として提供する。

○ 居室の広さは、一般的に我が国に相当数存在する居室の面積等を考慮し、1人

当たり 7.5 ㎡以上を満たすことが求められます(ただし、技能実習2号等から特定

技能1号へ在留資格を変更する場合等であって、特定技能所属機関が既に確保

している社宅等の住居に居住することを希望する場合を除く。)。なお、ルームシェ

アするなど複数人が居住することとなる場合には、居室全体の面積を居住人数で

除した場合の面積が 7.5 ㎡以上でなければなりません。 〔任意的支援〕

〇 1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約の解除・終了後、次の受入先が

決まるまでの間、住居の確保の必要性が生じた場合には、直近の特定技能所属

機関等は、上記の支援を行うことなどにより当該外国人の日常生活の安定・継続

性に支障が生じないよう配慮することが望まれます。

 

【留意事項】

○ 住居については、同等の業務を行う日本人と同等の処遇を確保する必要があります。

例えば、日本人労働者に社宅を提供するのであれば同等に社宅を提供する必要があ

り、居室の広さについても、同等の広さを確保する必要があります。

○ 技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する外国人において既に住居

を確保しており、同住居に引き続き居住する場合など、住居の確保に係る支援が客観

的状況に照らして明らかに不要である場合には、実施しなくても差し支えありません。た

だし、上記住居から退去せざるを得なくなった場合などには、新たな住居の確保に係る

支援が必要となります。

○ 住居の確保に係る支援については、居室の広さや衛生面など適切な住居を確保でき

るよう支援を行う必要があります(1号特定技能外国人が賃借人として賃貸借契約を締

結する住居は当該外国人の意思に委ねられますが、その場合でも、適切な住居の確

保に係る支援は行うことが必要です。)。

〇 1号特定技能外国人が賃借人となり、住居を借りようとする場合には、契約締結に当

たっての連帯保証人の確保などの問題が生じ得ますが、そのような場合には、当該外

国人の連帯保証人になることや当該外国人に代わって賃借人となるなどの適切な住

居の確保のための支援を行うことが求められます。

〇 ①の場合は、敷金、礼金等については、1号特定技能外国人において負担するもの

であり、特定技能所属機関において負担することを求めるものではありませんが、本人

の希望や近隣賃貸物件の敷金等の相場、報酬額等を踏まえ、適切な住居を確保する

ことができるように支援することになります。なお、特定技能所属機関等において敷金、

礼金等を任意に全額負担することや、別途1号特定技能外国人と負担割合を合意し

て一部負担することなどは妨げられませんが、家賃債務保証業者を利用した場合に

は、保証料は特定技能所属機関等が負担する必要があります。

〇 ②及び③の場合であって特定技能所属機関等が自ら賃借人となるときは、1号特定

技能外国人に社宅等を貸与することにより経済的利益を得てはなりません。1号特定

技能外国人から費用を徴収する場合については、借上物件の場合、自己所有物件の

場合に応じて、次のとおりでなければなりません

 

 

借上物件の場合

借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数

料等は含まない。)を入居する特定技能外国人の人数で除した額以内の額

・自己所有物件の場合

実際に建設・改築等に要した費用、物件の耐用年数、入居する特定技能外国人

の人数等を勘案して算出した合理的な額

○ 住居の確保に係る支援は、1号特定技能外国人の離職が決まった後も、特定技能雇

用契約がある間は行うことが求められることに留意する必要があります。

○ ここにいう「居室」とは、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいい、ロフト等はこれに含まれないことに留意が必要です。

〇 居室の広さについては、技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する場

合等であって、特定技能所属機関が在留資格変更許可申請(又は在留資格認定証

明書交付申請)の時点で既に確保している社宅等の住居に居住することを希望する場

合であっても、少なくとも技能実習生について求められている寝室について1人当たり

4.5 ㎡以上を満たす必要があります。

また、技能実習2号等を終了した技能実習生が一度帰国し、特定技能1号の在留

資格認定証明書交付申請に及んだ場合においては、特定技能所属機関が既に確保

している社宅等(技能実習生として居住していたもの)が当該外国人の生活の本拠とし

て継続しているなど、当該社宅等に引き続き居住することを希望する場合については、

寝室が4.5㎡以上を満たしていれば要件を満たすものとします。

 

 

 

 

<参考サイト>          

法務省

適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援 

厚生労働省

「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」

外国人雇用管理アドバイザー

外国人の雇用

農水省

外食産業 外国人受入れ

農業分野における外国人の受入れについて

国土国交省

「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」(賃貸人、仲介業者・管理会社の方へ)