<レオパレス21社の事例>

 オーナーからの相談内容

物件築年数が4年目にもかかわらず賃料減額を迫られた。

賃貸物件内容:

  • 借上げ個数16戸(敷地722.23㎡ 建坪436.77㎡ )
  • 総額投資資金:109,000,000円
  • 建物賃貸借契約内容

第2条 本契約の期間は、平成19年6月30日より平成49年6月29日までの30年とする。

第3条(一括賃貸料及び支払い方法)

  • 本契約の一括賃貸料は、当初10年間は、月額―金554300円とし、不変とする。
  • 第1項による10年を経過した後の一括賃貸料については、経済情勢、近隣相場家賃等を勘案した上で、甲乙協議の上、2年毎改定するものとする。

この相談事案は全国展開をしているレオパレス21社とサブリース契約を結んでいるオーナーからの相談です。現在同様な事例が数多く存在しています。様々な事例からサブリースのメリット及びデメリットを考察します。

サブリースとは

サブリースとは大型の物件を一括賃借し(マスターリースともいう)、それを分割またはそのままの規模で第三者に転貸する事業形態です。物件の所有者が運用ノウハウ、運用体制をもたない場合などに、サブリーサーに運営代行をフィーを支払って委託し、サブリーサーは自社の持つノウハウ、人員を用いて物件を円滑に運営することです。

一括借上

一括借上とは、不動産会社が大家(個人オーナー)から土地・建物・付帯施設をサブリースで借り上げ、運営・管理を一気に引き受ける賃貸システムです。

オーナーが賃貸物件を営む場合、収益は入居している部屋の分の家賃しか入らないため、空き物件が多かったり家賃滞納が多いと経営がおぼつかなくなってしいます。また、賃借人に対してのトラブルや対応なども行なわなければならず、管理面についても煩わしさがきます。一方、不動産会社も独自に賃貸物件を建てる場合、土地を購入した上で物件を建てなければならないため土地購入や建物建設・資産税などの税金など多額の費用がかります。そこで、オーナーが不動産会社に土地や建物などを託して管理を行ってもらうとともに、不動産会社から一定の保証金(賃料の80% – 90%程度)を得るという仕組みが出来あがりました。つまり、オーナーには後述のようなメリットがあり、不動産会社は土地購入や建物建設などの負担が軽減されるわけです。

大手不動産会社のほとんどが、このシステムを導入しています。

オーナーにおけるメリット

  • 不動産会社が一括管理してくれるため、知識がなくとも賃貸物件を建てる事ができる。
  • 賃借人に対しての対応は全て不動産会社が行なうため、オーナーが対応しなくてもよい。
  • 空室があっても空室分も保証され、オーナーに支払われる。
  • 賃借人の原状回復は不動産会社または提携・管轄する管理会社側が責任を持つ。

一括借上における問題点

  • 一括借り上げの条件として不動産会社が指定した建物を建築する必要がある。
  • 建物管理、修繕などについて不動産会社が指定した業者、仕様となる場合がある。
  • 転借人の審査は不動産会社が行うため、外国人など生活習慣の違う賃借人が入居すると地域住民とトラブルとなる場合がある。
  • 賃料は必ずしも長期間一定ではない。

オーナーが不動産会社から受け取る金額は賃借人が支払った賃料から不動産会社の手数料、管理費などを差し引いた金額を保証賃料として、一定金額を支います。 また、建物が竣工して引き渡された当初の2 – 3か月間は家賃収入が不安定であることから募集期間とされ、この期間内はオーナーに対して保証賃料が支払われません。

不動産会社の中では、「家賃10年保証」など賃料が長期にわたり固定されると謳われている場合がありますが、周辺環境、経済環境の変化などを理由として不動産会社、オーナー双方、賃料の減額、増額を要求することがでます。これは借地借家法32条1項に定められており、最高裁判例(金融法務事情1700-88、2003年10月21日判決)でも示されているものの、現実的には値上げ、値下げともによほど大規模の物件でない限り裁判の費用対効果を考慮すると双方にメリットが無く、貸主、借主協議の上で据え置きとなるケースも多いいようです。

(サブリース問題研究会)